ある日本語学校を、辞めることになった日、学生に「今日で辞めます。」と言った。
学生たちは驚いていた。
学校側と学生のことで意見が対立してしまい辞めざるを得なかった。
去りがたかったが、ウズベキスタンの男子学生が私にボールペンを渡した。
「これは、何?」と尋ねた。
彼は「ボールペンを見て思い出して」と語った。
熱く込み上げてくるものがあった。
この男子学生は、居眠りをしたり、私語をしたり、色々と手がかかった学生だった。
でも、最後の授業で「先生、来週も来てください。」と私に語った。
彼の言葉にジ~ンと来るものがあった。
かつて、私は教員だった。
多くの学生との出会い、そして、別れがあった。
外国人留学生との別れで、教員時代のあの込み上げてくる寂しさを感じた。
全く同じだった。
日本人であろうと外国人であろうと、心に響くものは同じなのだ。
私は、今もあの学生がくれたボールペンを持っている。
今でも心が締め付けられるような悲しさが蘇る。